第1回…まきのはらわせ
昔からの、極早生品種です。あまりに、芽の動きが早すぎて、寒害や、霜害を受けやすい。秋山園では、例年、3月12日頃が萌芽期となります。
あまりにも、早すぎて、手こずります。
しかし、その極早生特性を生かすと非常に面白いと思います。
つまり、茶樹の動きをいち早く知るための、指標作物的品種でもあります。まきわせが動き始めたら、その他品種も動き始める合図だと思えばよい。
また、休眠入りも他よりも早いため、肥料切りのタイミングも計ることもできます。
さらに、他の品種に先駆けて収穫できるために、その年の茶品質のおよその目安や、製造試験、腕ならしにも適します。防霜のための技を、品質向上のためにも使い分けができます。収穫が早いため、それなりの技を使いながら、丁寧に作れば、特に問題ない。
ただし、根が非常に浅く、地温や気温の影響を受けやすいので、デリケートなケアは必要です。幼木期の適切な管理には、注意と観察力が必要です。
秋山勝英にとっては、栽培難度は、E難度クラスです。大抵の方が、コントロールできずに、諦めます。この品種がうまく、コントロールできていれば、茶業界の地図も変わっていただろうと思われます。
地球温暖化との関係から、今までは不適と思われていたところでも、栽培が可能になってきたと思います。
また、遺伝子レベルでは、茶の品種には珍しく三倍体のため、花は咲きますが、結実はしません。
栽培における、仕立ては、自然仕立てが向いていますが、あまり樹勢は、良い方ではないので、肥培管理は注意したい。
また、やや渋味を感じますから、やや強めの蒸し程度が向きであることと、被覆をするなどの工夫はしたい。